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イオンによるウエルシア再編~ツルハはどうする?~ [企業戦略]

イオンがウエルシアHDへのTOB(リリースはこちら)、
並びにウエルシアHDとCFSコーポレーションの経営統合方針(リリースはこちら)
を発表しました。いよいよグループDrg企業のまとめ上げです。

ウエルシアHD株のTOBを行って持ち株比率を50.10%まで引き上げ、
イオン子会社のCFSコーポレーションをウエルシアに統合、
またウエルシアはイオンの子会社であるシミズ薬品とタキヤを吸収合併することで、
グループのドラッグストアを実質的に一社統合するものです。

イオンがツルハと提携しドラッグストア業界に興味を示し始めてからおよそ20年、
イオン・ウエルシア・ストアーズを立ち上げからおよそ14年、
ようやくコアとなる企業が誕生することになります。
店舗ブランドも統合するでしょうからウエルシアの看板を掲げる店舗が
5000億円以上稼ぎ出す体制が生まれました。

しかし20年でここまで大きくなるとは見事ではないでしょうか。
まぁウォルマートが食品に進出してたたき出してる売上に比べれば
全くもってたいしたことないですが・・・
でもイオングループの売上の1割近くがドラッグ部門が稼ぐってすごいですよね。
イオンリテールやマックスバリュなどグループの売上を入れればそのくらいでしょう。
セブン&アイにない強みをまた一つ手に入れることになります。

今回のTOBによるキャッシュ流出はおよそ230億円とか。
またキャッシュが流出しますが、グループ会社の子会社化については
これで一段落といったところでしょう。
ウエルシア、タキヤ、シミズは株式交換でやるようですし、
必要最低限のキャッシュはやむを得ないところ。

そうそう、ウエルシアってTポイントやってますよね・・・
マルエツもそうですけど、イオングループのTポイントはいずれ整理されるんでしょうか?
ちょっと気になりますねぇ。
WAONに支払いだけでない単純ポイントカード機能が搭載されればいいんでしょうけど。
M&Aで企業を取り込む場合ポイント制度がぐちゃぐちゃになるのは勘弁です。

で、これでイオンのドラッグストアは一段落と思いたいところですが、
最大の問題が残っています。そう、ツルハをどうするか?
イオンの出資するツルハとホーマックの北海道勢の出口が見えません。
ツルハの筆頭株主はイオン。創業家関係者も同程度持っているようですので、
今のところ力の均衡を保っているところ。
それにウエルシアも関東以西がメインで、
ようやく首都圏南下を開始したツルハとはまだ競合も少ない状態です。

ですが、ツルハの南下は止まらず、ウエルシアの北上も進む中、
右肩上がりで成長し、この微妙な持株比率で業績も堅調なチェーンを
どう位置づけるかが大きな問題です。
ツルハの年商はおよそ1700億円。
(2015.2.10訂正:単体売上約2700億円、連結売上約3900億円)
ウエルシアから見れば小さいですが、
だまって飲み込まれるには規模が大きすぎます。
イオンのサイトにもグループ企業として掲載されていますが、
ツルハのサイトには提携しているのは明示していますが
イオングループとは書いていない、微妙な感じ。
お互い、いまの曖昧な関係が心地よいのでしょうが、
ウエルシアを生み出したイオンも、
そろそろツルハをどうするか思案のしどころでしょう。
これが今後最大の課題ですね。
人材育成や商品調達での提携関係はとてもうまく行っているようなので、
ことを荒立てることはしないと思いますが、
店舗の競合がこれから大きくなっていくと安穏とは出来ませんからね。

セブン&アイは何だかんだいってもセブンイレブン一本足打法。
イオンにないものとして西武そごうがありますけど、
イオンにはイオンモール、マックスバリュ、ウエルシアと柱がそろってきました。
この戦力をさらに伸ばす上でもツルハとの関係は大事。
上手く捌いて欲しいものです。

ダイエー最後のお宝~イオンのグループ再編最終章その3~ [企業戦略]

イオンがダイエーを完全子会社化するシリーズ最後の話題はOPAです。
ダイエーが展開するファッションビルがOPA。
イオン(旧ジャスコ)が展開するファッションビルがフォーラス。
そして旧マイカルの展開していたビブレ。
これらが今回の再編劇で1つになる可能性が高いです。

フォーラスは多層階のジャスコを業態転換したもの。
なので建物は古いですが何故かファッションビルって
内装をしょっちゅうリフォームしているので多少古くても売上が取れるんですよね。
まぁそれ以上に立地がいいからお客が入りやすいというのもありますが。
駅前多層階、テナントを揃えられれば数字が読める訳ですね。
しかし、秋田、仙台、金沢、姫路、大分と微妙にライバルがいそうでいない
仙台はとして毛並みが違いますが、地方都市に展開しているのがキモです。
逆に、ライバルが出店すると難しい微妙な業態であるとも言えますが。
しかし、パルコやルミネなどの鉄道系ファッションビルが
出そうで出てこないマーケットを押さえた妙ですね。

OPAは関西中心に大都市に展開しています。
一時期十字屋の運営になったり紆余曲折を経ましたが生き残りました。
こちらはフォーラスとは違って競合と真っ向勝負しているファッションビルです。
なのでフォーラスよりは実力があるといえるでしょうね。
実力があるから十字屋、ダイエーと親会社が傾いても生き残ってきたわけで。

OPAとフォーラスはファッションビルでいいとして問題はビブレ。
マイカルのファッションビルのような形でスタートしたものの、
高級なサティのような店舗もあったり迷走し続けました。
マイカルSCにはサティとセットで出店することが多く、それらは特にそうでしたね。
昔マイカル桑名によく行きましたが、2つ存在する意味があまり感じられませんでした。
まぁだからマイカルは傾いたんですけど・・・

で、ダイエー最後の孝行息子がOPA。
実績からしてフォーラスとビブレが吸収されるでしょう。
フォーラスは地方都市向けブランドとして残るかも知れませんが、
ビブレは厳しいでしょうね。北大路ビブレのようなフルライン
(あっ、食品は光洋になりましたっけ)に近い店舗はいっそイオンに再転換、
でいいと思いますが、おそらく北大路ビブレのようにイオン系SM+OPA、
になるのがいいところかな。

随分前置きが長くなりましたが、
今回のダイエー完全子会社化における一番のメリットは、
ビブレの出口が見えたことではないでしょうか。
このまま放置して置くわけには行かないし、かといっててこ入れも微妙な業態だし、
OPAに面倒見てもらえば万々歳でしょう。
フォーラスもなかなか増やせないのでこれをきっかけにOPAによせれば事足ります。
パルコを取り損ねたイオンにとって、OPAの価値は高まっています。
大都市圏の攻略にはファッションビルは欠かせない業態ですしね。

問題はイオンモールに出店している1000坪程度のビブレをどうするかでしょう。
(最近arioに西武百貨店が同じように出店していますが。)
SPAでもないので取扱商品もぱっとイメージできないし、
これといったキラーアイテムも思い浮かびません。
ちょっとアップグレードなアイテムを扱ってるかな?といったぼんやりしたイメージ。
そこをどうするのかが今後の課題。
OPAに看板買えれば済む話ではないですしね。
ただ、イオンモールの新しい看板ショップとしてOPAには期待しているようですから、
モール用の業態界発にどれだけOPAが力を発揮できるか注目です。

イオンのSMブランド統一~イオンのグループ再編最終章その2~ [企業戦略]

イオンがダイエーの完全子会社化を発表した記者会見で
一番盛り上がった(?)、グループの店舗ブランド統一について私見を書きたいと思います。

マスコミ報道で目立ったのはダイエーの子会社化よりも、
ダイエーブランドが消える、という話だったと思います。
ダイエーの看板が消える、2018年メドだ、あのダイエーが・・・ということ。
売上日本一だった企業が消えるというのはニュースのとっかかりとして
センセーショナルであり注目を集めやすいポイントです。

でも、その1でも書いたように、イオンが遂にSMのブランドを統一にかかる、
その方がよほどビックニュースだと思います。
イオンはその昔は「緩やかな連帯」を旗印に各地の流通企業を
グループに取り込んで来ました。もちろん経営者も、看板もそのまま。
しかし、ハックキミサワの謀反(まぁこの言い方の方がセンセーショナルかな(笑))以降、
グループ企業へのグリップを効かせてきました。
地方のSMはマックスバリュになりましたしね。
北海道と九州はイオン(GMS)とマックスバリュ(SM)の2本立てにわざわざ分割しましたし。

最近、地方が落ち着いたので首都圏でSM連合を打ち上げたり、
西日本で光洋やマルナカのグループ化を進めていますが、
これらはまだマックスバリュになっていません。
これまでの流れを見れば、皆マックスバリュになるのかなと思っていましたが、
今度はイオンフードスタイルストア(仮)なる名称も出てきました。
どう見てもイオンスタイルストアを意識したものですが・・・

だったらダイエーでもいいと思いますけどねぇ。
GMSとしてのダイエーブランドはもう賞味期限切れですけど、
SMとしてであればまだまだいけるんじゃないかと思うんですけど。
関西はダイエーブランドで店舗を展開しダイエー復活!
みたいなプロモーションをかければ面白いと思いますよ。

以前こちらのブログでも書きましたが、
店舗ブランドをもっと大事にした方がいいと思うんですよね。
確かに既存ブランドを捨てて新しいものに統一するのは、
自社の都合で違うブランドの店舗を展開するよりは消費者に優しいといえるでしょう。
でも、必ずしも新しいブランドを打ち出すべきか?とは言えないと思います。
エリアで統一するくらいはいいですけど、
全国統一ブランド(そこまでは言ってないようですのでまだわかりませんが)のSMって
業界関係者は大きな夢かも知れませんが消費者にはあまり関係なし。
元業界人としては北から南までマックスバリュがある現状だけでもすごいことですけど。

でも、イオンのGMSって改装しても出自がわかりますよね。
イオンとサティの違いは一目瞭然です。
首都圏や近畿圏でSMブランドを統一しても、その辺はどうなるのか注目してます。
GMSほどの違いは無いかも知れませんが、
店舗ブランドを統一するならその辺も気をつけて欲しいところ。
チェーンストアは統一感が大事ですから!って、
私も消費者目線ではなく元業界人目線になってますね。
最近は画一化が嫌われるのでそれはダメなのかな?
とも思ったり・・・難しいところです。

確かに、イオンモールはどこに行っても同じ、と既にいわれ始めています。
いまにして思えばダイヤモンドシティがすべてサブネームを付けていたのは
とてもよい取り組みだったと思いますね。まずは名前から差別化すると。
いままで築いた「ブランド」を生かすべきは生かし、刷新すべきは刷新する、
そのメリハリが大事なんじゃないかと思います。
まぁ流通業だけでなく、日本車にも言えることですけどね。
車もすぐ車名変更しますし。もうついていけないです。

その点ディスカウントは「ビック・エー」と「ザ・ビック」で似たもの同士、
どっちによせてもいいんじゃないかと思います。
「ザ・ビック・エー」でもいいかもしれませんね。違和感全くなし。
損保ジャパン日本興亜よりは自然だと思います。

しかし、イオンフードスタイルストアにろなんにしろ、
各地のマックスバリュもまた社名変更するんでしょうかねぇ・・・
それこそ無駄なような・・・折角マックスバリュが浸透してきたところですし。
まぁ名前にこだわらない、ビジネスライクな経営陣の姿勢は立派だとは思います。
そんな感傷で売上は伸びないですから。
でも、名前を変えただけも売上は伸びないですよ!

ユニクロマルシェの成算は? [企業戦略]

随分久しぶりの更新になってしまいましたが、
何事もなかったかのようにファーストリテイリングのお話。

ファーストリテイリングが2012年11月1日に、
傘下のブランドを集めた「ユニクロマルシェプランタン銀座店」をオープンしました。
グループ傘下のユニクロ、ジーユー、コントワー・デ・コトニエ、
プリンセスタム・タム、プラステの5ブランドをそろえた初の店舗とのことです。

ポイントは先を行っていて、すでにブランド複合型店舗として
「collect point」を展開しています。
さらにブランドとしても「COLLECT POINT」を立ち上げ
(現在は「BLISS POINT」にブランド変更しオリジナルブランド化)、
なかなか商魂たくましく商売をしていますけど。

で、ユニクロマルシェ。グループのブランド認知度を高めるなら、
ポイントのように傘下の1ブランドである「ユニクロ」を掲げるよりも、
「ファーストリテイリング」を前面に出す方がしっくりすると思うんですけどね。
長いので「ファストリマルシェ」でいいですから。
ブランドとしてのユニクロの偉大さは分かりますし、
それを使わないのも損ですが、いつまで経ってもユニクロ離れが出来ない証拠でもあります。

ポイントだって、社名は知らないけどブランド名は知られている会社でしょう。
ポイントはコレクトポイントをブランドにしてしまいましたが、
グループのアイコンとしてポイントを前面に出したのは、
今後の展開を考えると正解だったと思います。
いつまでも「LOWRYS FARM」というわけにはいきませんしね。
複数ブランドを上手く育てているという点では(売上規模が違いますが)、
ユニクロも見習うべき点があると思います。

ファーストリテイリングだって同様です。
社名の知名度が低い(意図的にしてる面もあるでしょうけど)ですが、
ブランドを増やしてグループとして成長していくならば、
いつまでもユニクロに頼っていては、「所詮ユニクロの派生品か?」
という消費者のバイアスからは抜け出せないでしょう。
特に消費者イメージが大事なアパレル業界としては、
良い商品を持っていても消費者の誤ったバイアスで、
競争上の不利を強いられるのであればもったいない、そう私は思います。

折角日本初上陸のブランドも投入したわけですから、
ユニクロとは違った名称を使って欲しかったと思います。
ユニクロ離れが出来るかどうか、そこがファーストリテイリングの
今後の成長にとって大事なキーポイントではないでしょうか?

イオンの金融部門再編~総合金融グループ化へ~ [企業戦略]

イオンが、イオンクレジットサービスとイオン銀行の経営統合、
及び金融持株会社の導入による金融部門の再編を発表しました。(リリースはこちら)

リリースによると、まずイオンクレジットサービスとイオン銀行を
株式交換による経営統合しイオン銀行をイオンクレジットの完全子会社化(第1段階)、
次に、イオンクレジットの業務部門を切り出して子会社化し(新)イオンクレジットとし、
(旧)イオンクレジットをイオンフィナンシャルサービスとして持株会社化する(第2段階)もの。
将来的には、WAONも単独の子会社にしたり、保険代理店業務もぶら下げたりするんでしょう。
まさに「総合金融グループ」一直線であります。
イオン銀行はフルバンキングで銀行業に進出いてるほか、
旧日本振興銀行を買収したり、業容拡大に積極的です。
また、イオンクレジットは東南アジアに進出しイスラム金融を手がけるなど、
日本の流通業発の金融業として成功している部類に入るでしょう。
もう一つの成功者としてセゾンカードがありますけが、
こちらはすっかり独り立ちしてますけどね。
イオンとしてはセゾンカードのように立派に育って欲しいところでしょう。

このタイミングで金融部門の再編を仕掛けたのは意味があるのか?
といえば特に意味は無いでしょうね。イオン銀行がそれなりの規模に成長できた、
というのが一番の理由かと思います。
もし裏の理由があるとすれば、イオン銀行をイオンの直下から切り離して
中間持株会社をかませて間接支配にすることにより、
イオン銀行の不良債権が爆発したときにダメージを最小限に抑える、
という側面は全くなきにしもあらずだとは思いますけど。
旧日本振興銀行にどんな爆弾が隠れているかは分からないので。
でも、イオンの積極性は評価して良いでしょう。
イオン銀行も2012年3月期に黒字転換しているようですし、
独り立ちしたのがきっかけであると前向きに評価してあげましょう。

一方のセブン銀行は先日(2012年9月6日)にアメリカのATM運営企業の
買収を発表しました。(リリースはこちら)
日本だけでなく海外への進出も、日本同様ATM運営をメインでやっていくという
明確な意思表示であり、ここまではっきり言われると”あっぱれ”ですね。
ただ、商品にこだわるセブン&アイが、金融部門だけ手数料ビジネスに閉じこもるのは
どうなんだろうと個人的には思いますけど。
確かに消費者のそばにATMをおいてお金を心配させない、
というの大きなバリューですが、ただそれだけでは知恵がなさすぎです。
次なる一歩がセブン銀行から打ち出されるのを期待したいところです。

話が脱線しました。私がこの再編で注目したのはもう一つ。
イオンクレジットが、「窓口会社」になるということですね。
リリースによると、今回の再編でクレジット事業がイオン銀行に移ります。
イオンクレジットはクレジット事業と銀行代理店業務を委託されるわけです。
もしWAONも切り出されてWAONの営業を受託する形になれば、
各種金融会社の窓口を束ねる存在になり、イオンクレジットに行けば
銀行も、クレジットも、電子マネーも、みなまとめて扱えるようになるわけです。
銀行で金融商品の窓販が始まっていますが、それをより拡大した形を目指すんでしょう。
もし、証券業も加えれば、本格的な総合金融サービス会社の誕生です。
おそらくそこまで目指すんでしょうねぇ、やるからには。
イオンのSCにイオンの総合金融窓口がある、そんな時代がやってくるのか、
あるいは野望だけで終わるのか、あと10年くらい立てばわかるんでしょうかね。
インストアブランチも20年近く経ってようやく日本でも広まってきましたから。
金融部門は大事な資産を扱う商売ですし、一気に普及とは行かないでしょうから、
流通系金融業の行方を気長に見守ることにしましょう。

セブンイレブン四国上陸! [企業戦略]

平成24年9月9日(日)セブンイレブンは四国地方への出店を表明しました。
リリースはこちら
非常にシンプルではありますが、確固たる決意が伝わってきます。
9月9日の(平日ではない)日曜日にリリースを発表するのは流通業界的ですが、
今となっては気づく人も少ない重陽の節句になったのはたまたまでしょう。

さて、その内容は四国に出ます、時期は2013年春、四国4県にです、
2019年2月(つまり2018年度ってことですね)までに520店舗です、
ちゃんと工場と配送センターも建てますよ、というもの。
至極まっとうな内容ではありますが、今回は4県一斉の表明というのが珍しいところ。
直近で言えば秋田に今年5月進出しましたが、秋田だけで青森は先送りでした。
セブンイレブンのドミナント戦略を考えると市場規模からしても
四国は全体で1つという括りになるんでしょうね。
まぁ中央部に工場とセンターを作れば高速でくまなく物流できますから。
当面は瀬戸大橋経由での物流にならざるを得ないから香川・愛媛からの出店になるんでしょう。
着々と空白県を埋めていくのはさすがです。

つい10年ちょっと前までは名古屋にさえなかったのに、
セブンイレブンのドミナント展開力はさすがとしか言いようがありません。
店舗の競争力の高さと出店戦略の巧みさ、ロジの精緻さ、
そういった力を四国で出し切って行くでしょう。
今回のリリースでは残り青森、鳥取、沖縄が残されていると明記しています。
これはまさに出店宣言ですよね、まってろ、今に行くぞ!と。

そしてその後、セブンイレブンはどこへ向かうのか?
そんなことが気になったリリースでもありました。
でも、まだ全国出店を成し遂げたわけではないですからね。ちょっと気が早いか。
沖縄は効率が悪いから出ない、という選択肢もあり得ないわけではないですし。
まぁそんなことはないと思いますけど。最低沖縄本島は出ますよね。
だって、東急ハンズだって沖縄出店果たしているんですから!

セブンプレミアムが衣料品へ進出~PB分岐点へ突入~ [企業戦略]

セブン&アイホールディングスが2012年8月27日にセブンプレミアムから
衣料品シリーズの発売を発表しました。(リリースはこちら)
セブンプレミアムも、セブン&アイホールディングスのフルラインPBへ発展するようです。

すでにイオンがトップバリュを食品から衣料品、日用品までフルラインで展開しています。
パンも自転車もランドセルも布団もチノパンもスーツもみな同じトップバリュ。
いつの間にか一大勢力になって、フルラインで展開しても
ブランドイメージが拡散したり毀損したりということはなく、
「イオングループの商品」というのがずいぶん浸透していると思います。
提携戦略の先兵として各地のSMなどに投入されているのもやくだっているとは思いますけど。

それに対しセブンプレミアムは食品とコンビニで扱う日用品どまりになっていました。
開発主体がセブンイレブンとイトーヨーカドーとヨークベニマルですから
食品主体で展開されるのは至極当然であり、
ただのPBと違ってプレミアムを名乗るくらいこだわりのある商品を開発していたんです(きっと)。

今回はそごう・西武、赤ちゃん本舗、セブンネットショッピングにも供給するそうですから、
衣料品を扱っているグループではすべて取り扱いが始まります。
インナーは軽衣料で一番間口が広い商品ですから至極当然のことです。
あとは、衣料品のなかで、どこまでラインナップを拡充していくかが注目ですね。
リリースでは肌着と服飾小物を扱うと書いてありますが、
当面はそれでよいとしてもいずれレディース・メンズに展開するのは自然な流れでしょう。

イオンはトップバリュにサブブランド(衣料品ならトップバリュコレクションとか)を投入しています。
セブンプレミアムもそういった対応をとるかどうかも焦点といえるでしょう。
私としては、あくまでセブンプレミアム一本で行ってほしいところですがね。
無印良品くらいしかそういったブランドないですよね?
ということは、セブン&アイの中でセブンプレミアムは「無印化」出来るのか、
無印も衣料品ではずいぶん苦労してきましたから、ブランド育成という意味では注目です。
まぁ元々イトーヨーカドーは衣料品が強かったですから出来ないはずはないのですが、
このところの状況を見るとそうも言っていられません。
お手並み拝見、というところでしょうか。

ネットWAONの登場~次はネットでの戦い~ [企業戦略]

イオンリンクがイオンと共にイオンスクエア内のECサイトで
ネットWAONサービスを開始すると発表しました。(リリースはこちら)

イオンがWAONを始めて5年、ようやくというか遂にというか、
ネットでの買い物に対応しました。
イオンスクエアの登場に合わせて開始したというところがポイントでしょうか。
しかも、名称はネットWAONですが、リリースがイオンリンクとイオンであって、
WAON発行元のイオン銀行が入っていません。
ということは、あくまで名称がWAONであって実態はポイントサービス、
ただリアルの(電子マネーにリアルもくそもないですが)WAONに変換するときは
イオンリンクからイオン銀行へ変換分が支払われるということになるんでしょう、会計的には。
この場合のイオンは親会社としてリリースに名前が入ってて、
子会社の調整にあたるというのが役回りでしょうからね。

おっと、リリースをよくみるとWAONではなく、WAONポイントへの交換ですね。
ということは、ネットWAONをWAONポイントへ交換して、
さらに電子マネーのWAONへ変換するということが必要になるんですね。
そうならまた面倒ですね。WAONポイントのWAONへの返還は
WAONステーションでやらないとダメですから。
WEB上で出来るようにならないと利便性としてはどうなんでしょうか?
というか、ネットWAONを直でWAONへ変換すれば良いと思うんですが、
おそらくWAONは現金からのチャージしか出来ないシステムなんでしょう。
あと、ポイントを噛ませれば死蔵される分も出てきますしね。
些少であっても利益のかさ上げできるという側面もありますから。

イオンスクエアもまだまだ対応しているグループECサイトがすくないです。
あとは、WAONのようにネットWAONもグループ外へ広げていくのか注目です。
ネット上ではまだ電子マネーのように勢力が固定されていないでしょうから。
楽天、yahoo、Gポイントあたりが有力なんでしょうが、
ここへ後出し電子マネーで成功した流通系が殴り込みをかけて成功するのか
今後の展開を見守りたいと思います。

セブンスポットの勝算 [企業戦略]

1週間ほど経ってしまいましたが注目したニュースを取り上げます。

セブン&アイホールディングスが2011年12月1日より、
傘下のセブンイレブン、イトーヨーカドー、西武・そごう、
セブン&アイフードシステムズの店舗で順次Wi-Fi接続サービスを
開始することを発表しました。(リリースはこちら)

外食産業を中心に、ホテルなど人が集まる場所を中心に
無線LANスポットの整備が進んでいる昨今ですが、
流通業が本格的に無線LANサービスの提供を表明したのは初めてでしょう。
バックボーンはNTT東日本の光サービスのようですが、
両者の協業として提供されるサービスと位置づけていますね。
とおもってNTT東日本のサイトをのぞいてみたらやっぱりリリースがありました。
(NTT東日本のリリースはこちら)
NTT東日本としてはフレッツスポットの拡充という位置づけのようですね。
そして、セブン&アイは場所代代わりに登録ユーザーに無料でサービスを接続する、
そう言う役割分担のようで、なかなか上手い提携だと思います。

セブンスポットとしては登録ユーザーに1回60分以内、
一日3回まで接続可能という制限を設けつつ無料で提供する。
その制限が邪魔になったらフレッツスポットユーザーになって下さいね、
というのが趣旨でしょう。セブン&アイの店舗に来れば無線がただで使える、
となれば、スマホユーザーやモバイルユーザーが集まります。
しかも1日三回までアクセス可能なので、出先でチョッとした調べ物も
ちょちょっと出来てしまう訳ですからかなり便利ですね。
また、私のような田舎ものも上京したときにセブンスポットを利用すれば、
調べ物もチョチョイのチョイな訳ですからかなりお得感があります。
実家に帰省したときにかなり便利かも、と思いますのでユーザー登録してしまいそう。

60分という時間制限がありますが、
セブンの店頭で60分スマホをいじる人はいないでしょう。
デニーズ利用者を考えて長すぎず短すぎず60分になったと思います。
おそらくこの時間制限や回数制限は実際の利用状況を見て変わっていくと思いますけど。

この施策はイオンよりもセブン&アイが取り組んでいることは腑に落ちます。
セブンイレブンでの情報投資は有名な話ですからね。
店舗との回線もおそらく既に光が入っているのではないでしょうか?
そのくらいインフラ投資に重点を置いていたらから、
一気呵成に全国展開できるわけですし。
約1年で14000店舗へ拡大って、nanacoの展開を上まわるペースじゃないですかね?
(まぁイメージであって、実際のところどうだか分かりませんが)
最近の流通業は「ヨコ展開」が得意ですから、こういったところでも生かされたかな、
と思ったりもします。

あとはこれを本業にどう結びつけるかですね。
セブンイレブンは既に若者が多いので新規獲得というよりは
つなぎ止めのツールとして有効かなと思います。
イトーヨーカドーの場合はファミリーで買い物に来て、
お父さんがWi-Fiで時間を潰す、という光景が目に浮かびます。
そうなるとイトーヨーカドーのどのエリアにスポットを用意するかが重要です。
(まぁそごう・西武にも言える話でありますが)
まさか全館対応と言うことはないでしょうから。
どの辺であれば立ち止まってWi-Fiを使われても大丈夫か、
というシミュレーションが大事になるでしょう。
コンビニは店頭でやるに決まってますからね。
田舎だったら駐車場でも使えるようにして欲しいところですけど。
あとビジネスマンが集まるようになるのか?
GMSの一角にモバイルで仕事をするビジネスマンの集団が現れたら
かなり奇異な感じがしますが、カネを落としてくれれば良いわけですし、
そういった光景が見られればある意味成功を意味してるとも言えそうです。

しかし、そうなると唯一の疑問。
なぜグループのSMでは展開しないのでしょう?
nanacoの普及がイオンのWAONに後れを取ったのは、
セブンイレブンとGMSの食品売り場に限定したり、グループ外に開放しなかったこと、
サービス開始時に制限のあったこの2点につきると思います。(今は違いますけど)
そういう教訓を生かせば今回はSMにも設置してしかるべきだと思うんですけどね。
ヨークベニマルだって完全子会社になってるんだし。
ちょっとその辺が??であります。グループ一体で、というのがいいと思いますよ。

いずれにしろ、Wi-Fi導入の効果はすぐに見えないかも知れませんが、
将来的には店頭でのマーケティングツールとしてもつかえそうです。
私はむしろそれがメインではないかと思います。
イオンはイオンチャネルとしてGMSでテレビを使った販促してますが、
テレビという固定網に対し、無線網で対抗するセブン&アイ。
なかなかいい構図だと思います。マス対個人という感じで。
いづれにしろ、今後どうセブン&アイが使いこなしていくか注目しましょう。

東北かけはしプロジェクト~セブン&アイの長期戦~ [企業戦略]

セブン&アイホールディングスが2011.10.27に、
「東北かけはしプロジェクト」を発表しました。(リリースはこちら)

内容としては、セブン&アイホールディングス傘下で食品部門を持つ、
セブン-イレブン・ジャパン、イトーヨーカ堂、ヨークベニマル、ヨークマート、シェルガーデンで
東日本大震災で被害の大きかった岩手、宮城、福島の食品メーカーと協力して
販促をかけていくというもので、注目はその期間が3年ということ。
1週間とかの短期キャンペーン(要するにチラシの期間)は各社取り組んでいますが、
ここまで本腰を入れて行うのは初めてではないでしょうか?
言わずもがなのことなので、あえてリリースを出すようなことではない、
という意見もあるかとは思いますが、少なくとも3年は継続して行うという意思表示は初めてです。
しかも、対象は東日本の被災地にとどまらず全国で行われます。
まぁ全国といっても、セブン&アイは未進出の地域がありますので、
厳密には”ほぼ”全国かもしれません。
セブンイレブンが参加する2012年度が本当の意味でのスタートかもしれませんね。
リリースにも今後協賛メーカーを拡大していきたいと書いてありますからね。
業種がどう広がっていくかも注目していきましょう。

ただ、この取り組みに対する協賛メーカーを見ると、
なかなかメーカー集めが苦労している様子が見て取れます。
リリースにもありますが、大きく分けると地場の企業として酒造メーカー、
地場特産品(蒲鉾、味噌・醤油、麩、麺類、練製品、納豆・豆腐)などがあり、
そこに東北の企業ではないが東北に生産拠点を持つ各社が入っています。
地元資本でなくとも、3県に工場があればいいというのは、
初年度としてはアイテムをそろえるという意味でいいかもしれませんが、
2年目以降はぜひ新規の地元企業を開拓してほしいですね。

そうなると果たしてどういった業種が入ってくるのか?
できれば農水畜産物が入ってくればいいのでしょうが、
それは来年以降の放射能汚染の展開次第ということになりそうです。
今のところコメはセシウム汚染が広範囲に広がらずにすみそうですが、
それ以外の農産物はどうなるか・・・
また、農水畜産物を原料とする加工食品がどれだけアイテムとしてそろえられるか、
そこも大きなハードルになりそうです。そこはまさに日本人がどう放射能汚染と
つきあっていくかということにもつながる話になるでしょう。

今回のキャンペーンの隠れた(?)意義として、
セブン&アイグループが東北産の商品とどうつきあっていくか、
という行動指針を固めることにつながると思います。
そして、いまの東北から調達できる商品を開拓し・絞り込み・売り込んでいく、
流通業として基本となる”商品力”を鍛えることになるのではないでしょうか?
放射能汚染問題をかかえた商材に対する対応力をつけることができれば、
右往左往する他社とは違ったアドバンテージが持てるかもしれません。
もしそこまで深謀遠慮が働いていたら、恐るべしセブン&アイ!って感じです。
ちょっと穿ちすぎかもしれませんが、そんなことも思います。

唯一課題になるのは、3県以外の東北各県や茨城県、
放射能問題を抱える関東各県などからも取引を求める声が上がるかどうか、
ということもありますね。みな困っているわけですから。
また、3年間同じだけの力のいれ具合を維持できるかという問題もあります。
義援金、支援協定ときて、次にいくのは実際の販売支援が流通業界の役目ですから、
他社に先駆けてこういう長期の取り組みを表明したことで、
今度は”支援期間”の競争が始まるかも要注目ではないでしょうか。

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