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セブンイレブンの大勝負~伸るか反るかは神のみぞ知る~ [提携・M&A]

セブン&アイホールディングスはアメリカのコンビニ子会社が
競合のコンビニチェーのspeedwayを210億ドルで買収することを発表しました。
リリーはこちら。事業計画の方が分かりやすいのでこちらもどうぞ。

春先に一度破談が明らかになった案件でしたが、
まさかの復活と電撃買収の発表でした。
当時も金額で折り合わなかったと言われましたが、
当時から200億ドル超と言われていたので大して金額的な変動はない、といえると思います。
新型コロナを挟んで一体何があったのか?謎とともに興味がそそられます。
発表後、株式市場では本日だけで5%超下落したようで、
早速市場の洗礼を浴びたかたちになりました。

アメリカのコンビニ市場についてはマスコミ報道以上の知識は無いので、
全くもってイメージのはなしになりますが、
ガソリン販売とコンビニのハイブリッド店舗をどう転がしていくのか注目です。
赤字だったアメリカのセブンイレブンを黒字化しましたから、
運営ノウハウはあるでしょうけど現状でも黒字の会社を買ったわけで、
ということはさらに売上のトップラインを上げていく必要があります。
赤字会社だったら改善は楽ですが黒字会社にPBを入れたり、
ブランドを変更したり、オペレーションを変えたりしただけで、
更なる売上の向上というのはどうなんでしょうかねぇ。

それを踏まえて個人的に事業計画書で注目したのは、
統合によるシナジー効果、節税効果、ESGといったことを言っていること。
シナジーは自称ですし、節税効果を当てにする経営者ってどうなんでしょう。
ESGなんてガソリン売ってるのに何言ってるの?と突っ込みが来そうです。
しかも、ガソリン市場の拡大を見込んでますしね。
セブンイレブンで売ってるガソリンを入れると燃費が2倍になるとかなら別ですけど・・・
ちょっとこじつけが過ぎる感じがしてなりません。
あと、買収元から15年の長期契約でガソリンを仕入れるそうで、
これってあとで足かせにならないか気になります。

あと210億ドルの買収資金は株式市場を使わないとのこと。
新型コロナでマーケットは超軟調ですから今はその時期ではないですから当然でしょう。
しかし、各社キャッシュを積み増そうと必死なときに、
金融機関や社債市場から調達するというのはかなり強気な話です。
エアラインが聞いたら泣いて悔しがるでしょうね。
というか、取引先からは間違いなくイメージ悪くなるような・・・

結局のところコンビニ3900店舗を手に入れたらガソリンスタンドがついてきた、
ガソリン市場も当分は持ちそうなので、いずれそちらの出口戦略はかんがえるとして、
まずはいま市場に放出されたコンビニを手に入れてシェアを拡大しないと!
というこなんでしょう。資金計画がこれほど明らかにならないのも珍しいです。
兆円単位のファイナンスだったらある程度話しがついていて、
シンジケートとか明らかになると思うんですけどみえません。

セブン&アイホールディングスから80億ドルの増資があるようです。
そごう西武を80億ドルで売って資金調達、
なんてウルトラCがないですよね??
8億ドルなら売れるかもしれませんが・・・
まぁ経営者としては大きな勝負に出たわけですから、
セブン&アイホールディングスのマネジメント陣に期待しましょう!

20200804追記
増資が一ケタ少なかったので修正しました。
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伊藤忠商事がファミリーマートのTOBへ [提携・M&A]

伊藤忠商事によるファミリーマートへのTOBが明らかになりました。
伊藤忠商事によるリリースはこちら
伊藤忠商事がファミリーマートを「ほぼ」完全子会社化するという内容です。

伊藤忠商事による完全子会社化は既定路線ですから特に驚くことはないですよね。
タイミングはこの時期でどうなんだろうとは思いますが・・・
伊藤忠商事もポストコロナの時代に備えるために資金流出には慎重になるかと思いきや、
業績が堅調なコンビニを連結決算に取り込むということなんでしょう。
しかし今年はEC、ネット関係以外は業績が落ち込むところが多いでしょうから、
株価が落ち込んだところでTOBというのもあったと思いますが、
ここでファミリーマートに投資するというのが大人の経営判断かもしれません。
株式市場も当初は動きが荒かったですが現状は比較的安定しています。
そう考えると実は今が買い時で、今年の決算に利益を取り込んだ方が
不確定要因は減るとも言えますので、なかなか渋い決断であることは間違いないでしょう。
いずれ、いい買い物か高値づかみかは歴史が証明してくれますけど。

これでファミリーマートを手に入れ、アパレルのデサントと合わせて
着々と「伊藤忠リテール」が形成されています。
元々繊維に強い伊藤忠商事といわれていますので
アパレルに力を入れるのは分かりますが、
本命のパンパシフィックインターナショナル(いわゆるドンキ)は暫し膠着状態なので、
まずは合意している20%までなんとか株を買い増すので精一杯のハズ。

三井不動産がららぽーと一族を従え、三菱商事がプレミアムアウトレットを持ち、
さて伊藤忠商事もSCに手を伸ばすのかは注目しています。
今回のファミリーマートにも系列の東京センチュリーが噛んでいますしね。
まぁ不動産ではなく設備面だと思いますが、不動産方面へ伸ばしていく手もありかと。
ただ現状ではさほど活躍の場はないと思いますけど・・・

個人的には日本アクセスを活かすとすれば、次はSMではないかと思います。
ファミリーマートにドンキホーテ、さらにSMと揃えば日本アクセスの活躍は大いに期待できます。
そこまで手を広げるのがトータルとしてどうなのか?
そこがこれからの判断基準になるかもしれません。
第三の流通グループを目指すのかは他の商社の動きも関係するでしょう。
みなそれぞれ卸やらコンビニやらSMやら抱えていますし。
横並びが日本企業の特徴ですからねぇ。
果たしてどうなることやら、結論としてはお手並み拝見です。
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ウォルマート、西友売却??~西友の漂流は続く~ [提携・M&A]

本日(2018年7月12日)、マスコミからウォルマートが西友売却へ、
というニュースが一斉に流れました。

ウォルマートが売却する理由としては、
・業績の低迷
・ネット通販との競争激化
・選択と集中(低迷する国外子会社を切り離す)
・日本の人口減少によるマーケットのシュリンク
といったところがあげられています。

私的には、最後のマーケットのシュリンク、というのが気になります。
まぁ外資は日本の流通業界で生き残るのが厳しい、
という歴史はありますが、マーケットの将来性もないし、
いまさら投資してもリターンは厳しいよね、
と投資対象から外されてしまうわけですから・・・
まだまだ国内の流通業界の売り上げはウン兆円ありますが、
確かにこれはシュリンクしていく可能性が高いわけで、
そこで20年近くあれやこれやとやってみても、
いまいち成果が出ないとなればそりゃぁ見切られますわな。

残り少ない外資系流通業者がこれからも撤退するのか、
そしてアマゾンが勝者総取りとなるのか、
まだまだ流通業の面々には頑張ってほしいものです。

しかし、西友を本当に売るとしてもいくらで売れますかね?
モールだけなら魅力的だとは思いますが。
あとは首都圏の元気な店舗網ですか。
一体となって買ってくれるのはイオンかセブンアンドアイか、
あるいはローソン、ドンキあたりが出てきますかね。
フジやイズミはちょっと持て余す規模でしょうし。
ニトリやユニクロあたりが触手を伸ばしたり、
ライザップが飲み込んだりしたら
マーケットに与えるインパクトは大きいでしょう。
結局身ぎれいにして分割して引き取られる、
という方向かなと予想します。

ただ、結局のところ西友の漂流は続くのかな、
というのが確実な近未来かと思います。
本音としては西友によみがえってほしいですけど!
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ローソン、WAON導入~コンビニ業界の合従連衡は続く~ [提携・M&A]

イオンとローソンが、ローソン全店へのWAON導入を発表しました。
(イオンのリリースはこちらローソンのリリースはこちら)

「遂に」というか「ようやく」というかですが、「いよいよ」ローソンがWAONを導入しました。
ミニストップでロッピーが導入されたお返しが、ようやくイオンに届きました。
イオンにローソンの親会社である三菱商事が出資していることから、
いずれはローソンにWAONが導入されるという観測はありました。
観測というかイオンの希望といった方がいいでしょうけど。
WAON導入が2007年ですか、それでミニストップへのロッピー導入が2012年ですので、
いずれにしろイオンの夢が一つ叶うことになりました。
これでコンビニではローソンとファミまでWAONが使えるので
nanacoよりも数の上では有利になりました。

しかし何とも言えないタイミングですよね。
ファミリーマートとユニーグループの経営統合も発表になりましたし、
コンビニ業界の動きは何かと騒がしいです。
ファミマの一件がローソンの背中を押したのかな、
と個人的には思ってしまいます。
3強時代に向けて打てる手は全て打つという強い姿勢を感じますね。

あと、今回はあくまで「業務提携」です。
資本提携ではないところがミソですね。
過小であっても資本を入れることが多い流通業界において、
純粋なる業務提携って珍しいなと。
両者とも巨大すぎて諸般の事情もあるので簡単にはいかないんでしょうけど。
今後、こういう業務提携が増えていくのかなとも感じました。

ローソンはpontaの電子マネー化も発表しているほか、ドコモポイントの導入も発表。
ポイント、電子マネー、ともに自社単独サービスにこだわらない姿勢を示しています。
これは利用者にとっては悪いことではないですよね。
事業者にとってはポイント負担とシステム投資が嵩む一方ですけど。
それでもオリジナルにこだわるセブンイレブンに、
提携戦略で挑むローソン、規模の経済を追求するファミリーマート、
という立ち位置が見えてきます。

となると、イオンのミニストップはどうなるのか?
WAONの手土産にローソンへ譲渡というシナリオを個人的に考えてきましたが、
ファミマが巨大化した今、それはそれで危険かなという気がします。
ファミマがユニーへのWAON導入を掲げてミニストップに触手を伸ばす、
そんな事も考えられますし、ユニーやユーストアとミニストップを
交換するなんてこともなきにしもあらず。
また、ファミマがWAONからの撤退をちらつかせて・・・
などなど、ローソンが有利とはいない状況になったと思います。

ならばむしろ、ミニストップはこのまま独立を維持して行くしか無いですよね。
ミニストップはコンビニ業界の再編劇によって、
むしろ独立を保たざるを得ない立ち位置になるかも知れません。
ただ、それが企業として存続できるかどうかは別ですけど。
セイコーマートはマーケットの特性上、単独でやっていけるでしょうけど、
ミニストップはどうなることやら。
リージョナルコンビニチェーンが今後の日本で成り立つのか、
大いなる実験になるかと思います。

まっ、私の想像のお話しですので、
これが正しかったのか間違っていたのかは5年後くらいには判明するでしょう。
今後のコンビニ三国志の行方は、
業界内の再編から他業態との合従連衡にかかっているといえるでしょう。
消費者としてはワクワクしながら眺めさせて頂きたいと思います。

ユニーとファミリーマートの経営統合話~GMS再編最終章の幕開け?~ [提携・M&A]

本日(2015年3月6日)、マスコミでユニーグループ・ホールディングス(ユニー)とファミリーマートの
経営統合が一斉に報道されました。
両者とも判で押したように検討していますが決定した事実なし、
といういつものリリースが出ています。

報道によれば、ユニーとファミマが経営統合、
実現すればローソンを抜いてコンビニ業界第2位に浮上するというもの。
これでセブンイレブン、ローソン、ファミマ・サークルKサンクス連合に
業界が再編されるので今後が注目!と騒いでいます。
ファミマの会長もインタビューでブランド統一を語っているように、
すでにほぼ話はついていて週明けにでも正式発表となりそうですね。
だって、話が固まる前に一方の会長が店舗ブランド云々の話をしたら、
流通業界では再編話が破談しますから。
ここまで踏み込んで話をすると言うことは
大枠が固まっているからだと思われます。

ファミマの上田会長が社長を退いたのもこの伏線だったのか?
そんな思惑も感じられますよね。
ユニーと経営統合したらコンビニ2社を束ねた中間持株会社を作り、
その社長にファミマの上田会長が就けばポスト的にはぴったりです。

この経営統合が実現すればコンビニ三国志時代の幕開けです。
TOP3と4位では店舗数で1ケタ差がつく訳ですから。
ちょっとイオンはミニストップの売り時を逃しましたね。
もうスリーエフ・ポプラともどもローソンに引き取ってもらうしかないでしょう。
ココスは、まぁどこかで・・・ってことで。
あとの中小コンビニはTOP3かセイコーマートに系列化してもらう、
そんな業界地図になるんじゃないかと思います。

セイコーマートはね、単独で残ると思いますよ。
矛盾しますが本州に南下しなければね。
北海道ガラパゴス・コンビニとして生き残るんじゃないかと。
まぁアークスと経営統合って話はあり得ると思いますけど。
アークスのSMが出店できないローカルをセイコーマートがカバーすれば、
もう北海道流通三国志はアークスの圧勝で終わり。
業界の秩序が保たれ過当競争が収まるかと。
そうは問屋が卸さないと思いますけどね。

さて、そうなるとユニーはどうなるのか?そこが問題です。
ユニー的には全国コンビニと中部ローカルのGMS、SMをぶら下げることで、
GMS、SMにも規模の経済のメリットを受けたいと考えているんでしょうけど、
果たしてそううまく行くかな、と疑問に思います。
むしろ、アピタ、ピアゴを切り離した方が業績は上向くはず。
2,3年はコンビニ、GMS,SMが一体となっていても、
将来的には遠心力が働くんじゃないかと思います。
コンビニ部門はどう見てもファミマが主導権を握る訳ですし。
5年後、10年後、「ユニーホールディングス」が
「ファミマホールディングス」になっているのではないか、
そんな可能性が感じられます。

GMSを切り出して2強以外のイズミやフジ、平和堂と組めば
第三極として面白くなるはず。
そんなGMSの最後の再編も起こるんじゃないかと、
世間話が好きな元業界人は予想しておきます。
そういった意味ではコンビニ再編だけではなく、
GMS再編の最終章の幕開けでもあるんじゃないかと。
まぁ確率はそこそこあると思いますけどね、イチローの打率くらいは・・・
こちらも気長にウォッチしていこうと思います。

ユニクロと大和ハウスの物流”新”戦略~ラストワンマイルをとってこそ~ [提携・M&A]

ユニクロを運営するファーストリテイリングと大和ハウス工業が
物流面での提携を発表しました。(リリースはこちら(大和のですけど))
リリースが出たのは大和ハウス側でファストリでは見つけられませんでした。
大和ハウス工業の物件にファーストリテイリング専用の物流倉庫を建設、
両者の共同出資で物流会社を設立して運営するとのこと。
店舗向け配送と通販の配送を新しい物流拠点から行うことでより効率化をすすめ、
ゆくゆくは全国に同様の拠点を10ヶ所は展開したいそうで。
また、新拠点からの当日発送をおこないたいなんて発言もありましたね。

マスコミはユニクロが当日配送に参入!といった見出しを出してますが、
果たしてそれが新しいのか?と言うのが正直なところ。
当日配送やっているのはたくさんありますからねぇ。
それこそビックカメラなんかは30分で配送とか言い始めてますし。

発表をよく見ると、私募リートを組成して資金調達するとあり、
こういった仕掛けの方が注目だと思いますけどね。
リートなのできちんとした運用益を上げる必要がありますが、
ユニクロの国内物流を一手に引き受けるとなれば投資家にとっては魅力的。
私募リートで資金を調達しロジを整えるのも上手い手だと思います。
10ヶ所の設置もあり得るというのもファンド資金を集めるための
リップサービスといった側面も多分にあると思いますけど。
だって、ホントに10ヶ所必要なのか?と思いますね。
イオンも全国にRDCを設置していますけど
生鮮で10ヶ所あるのかな、と言う程度ですし、
アパレルではむしろブロックごとに北日本(北海道・東北)、
関東、中部、近畿、西日本(中四国・九州)あたりで十分かと思います。
g.u.とかグループ一括物流を考えているとしてもちょっと多いかと思いますね。

店舗物流と通販の個人向け配送を同一拠点から行うというのは
確かに新鮮味はあります。在庫共有化出来ますので、
通販の欠品防止には最適な仕組みのようにも見えますね。
あとは実際の運用が目論見通り出来るかどうかでしょう。
なんせロットサイズが違いますからねぇ。お手並み拝見でしょう。

この頃の物流関係のニュースはアマゾンにしろゾゾタウンにしろ、
新しく巨大な物流倉庫を建設して一ヶ所ですべてに対応するのがトレンド。
実際に配送を行うヤマト運輸もクロノゲートでその流れに乗っています。
それが1つ1つは大きいというかも知れませんが全国に10の
物流拠点を構えようというのは明らかに時代の流れに逆行しています。
別に時代の流れに逆行しているのが悪いというわけではありませんが、
少なくとも革新的な挑戦かといわれればちょっと違うような気がします。
物流倉庫をつくって売上が伸びるわけではありませんからね。

いまのトレンドはオムニチャネル。
これも結局はいかに消費者にアプローチするかということ。
SPAとして商品を生産し、自社物流網にのせてリアル店舗とネットで販売、
そこに配送のラストワンマイルまで自社でやるならユニクロらしいと思うんですけど。
楽天が楽天マートで自社配送を始め、ラストワンマイルを手に入れようという挑戦、
アレに比べるとそんなインパクトはないと思います。
今回の提携がそこに向かうなら話は別なんですけどね。
当日配送よりも”完全なる翌日配送”の方が消費者ニーズはあると思います。
早ければ当日といわれるより、明日必ず届けますのほうが
受け取るメドがはっきりしますから。
一部のスピードよりも全体のスピードをどう早めるかが
これからのトレンドだと思いますけどね、地方在住者として。

大和ハウス工業はラストワンマイルを担う企業ではありません。
もともと店舗開発に強みを持つ企業ですから
(実際、ユニクロの成長は大和ハウスなしではなしえなかったでしょう)、
倉庫も作って自社でやるのは事業展開として納得できます。
そう見れば、当然の提携であって当日配送が可能になるというのは枝葉の話と考えます。

ではこの提携は無意味か?
それは違いますね。これからユニクロはラストワンマイル以外のロジは、
大和ハウスと組んで自分でやるという宣言を出したわけです。
3PLに真っ向勝負、ロジまで自社でやるSPA企業はそうそう無いですから、
さらに効率化を極めようという努力が伺えます。
となると、やはりラストワンマイルにどうやってアプローチするか、
そこがファーストリテイリングの最終的な目標だと思います。
さて、そこまでたどり着くのはいつの日やら・・・

ローソンが成城石井買収~ダイヤは稀少だから価値がある~ [提携・M&A]

ローソンが成城石井の買収を発表しました。(リリースはこちら)
成城石井はレックスホールディングスに買収され、
レックスが傾くとファンドに転売されてようやく安住の地を見つけた形です。
最終的には大手の傘下に収まって良かったのか悪かったのか・・・
ただ、親会社が次々変わって漂流していたわりには
経営が絶好調という稀有な例だと思います。
会社って転売されてるうちに業績が下がるんですけどね、多くの場合。
経営者に恵まれたのでこういう結末を迎えたとも言えます。

さて、ローソンは成城石井を買収することで「おいしい」こだわり商品の提供で
成果が見込める、的なことをリリースで表明しています。
確かにローソンはナチュラルローソン以来ヘルシー路線へ舵を切っています。
こだわりのPBを展開する成城石井は商材調達先として
かなり魅力的なことは確かです。
「高級スーパー」ではなく「こだわりスーパー」として認知されています。
まぁそれにはリアルスコープやシルシルミシルサンデーのような
テレビ番組などのマスメディアを上手く活用してきたマーケティング戦略も
はまっていたからでもあります。
私も利用したことがありますが、手が届かないことは無い
絶妙なプライスラインで商品を展開しているのが見事でした。

ただ、ペットボトルなんかはコンビニ程度で買えたりしますが、
日常的に使えるかというとなかなか厳しい面も正直あります。
こだわり食品は毎日は買えないですよね、多くの消費者には。
週に2,3回とか週末とかハレの日なんかに買うには手頃。
そんな自分へのご褒美マーケットを押さえているSMだと思います。

ローソンはデイリーユースですから、そういう意味では棲み分けが出来ています。
業態論からいうと補完関係が見事成り立っているわけで買収は正しいでしょう。
年商約600億円の企業に対して約360億円(負債込みで約550億円)の買収価格が
高すぎであるという批判はありますが、ローソンには出せない額ではない。
財務的にはのれん代償却が発生するので利益圧迫要因にはなりますが、
一般的な基準で見ると高いけども長期的にはペイできる水準でしょう。
単純計算で利回り10%程度ですからね。

現状で成城石井は120店舗。
そのこだわり商品をローソンにそのまま流すと生産はパンクするでしょう。
そして何より、増えすぎると希少性がなくなってブランドが毀損してしまいます。
いまの成城石井はSMとしては成長余地があると思いますが、
PBメーカー的な扱いをしてしまうと危険だと思います。
ローソン幹部が成城石井をダイヤの原石、磨けば光的な発言をしたとも伝えられていますが、
成城石井はすでに独自の地位を築いた立派なダイヤ。
ダイヤは誰もが持っているものではないからダイヤな訳で、
まちなかにあふれてしまったらダイヤではなくて単なる炭素の塊になってしまうでしょう。
新しいコラボブランドを立ち上げるあたりが着地点だと思いますけどね。
まずはナチュラルローソン専用アイテムを投入するといい線いけるのではないかと思います。

その点、オリジンとイオンの総菜売り場のコラボはなかなかいいんじゃないかと思います。
いわばダブルチョッパーとして展開している総菜売り場は、
オリジンの知名度が全くないと言って良い東北でもそれなりに賑わっています。
味がしっかりしているオリジン、そのままではイオンに出てくれないから
イオンの総菜売り場として展開し商品開発でオリジンが協力する体制はなかなかいいです。
個人的にあそこの欠点は量り売りだと思いますけどね。
週末は量り売り、平日はパック売りとかメリハリを付ければもっと売上が伸びると思います。
やっぱり地方で量り売りって難しいものがあるんじゃないかと・・・

おっと、脱線しました。
そんなオリジン×イオンのスタイルはいいと思います。
そうだ、インショップでもいいかもしれません。
コンビニにインショップというのも奇妙かも知れませんが、
ファミマの無印なんかなそうですよね。
ローソンもおにぎり亭を打ち出したり、菓子もPBでゴンドラをうめてそれっぽくなっています。
ダイエーが一時期CVC(カテゴリーバリューセンター)構想を打ち出し、
インショップで売り場を構成しようとした時期がありました。
アレのコンビニ版は意外といけるかも知れません。
アイテムを週替わりで展開するとかすれば売り場の鮮度も保てますし、
成城石井ブランドが希薄化する危険も逓減できるでしょう。
店舗をグルーピングして順にアイテムを入れ替えていけば
生産ラインも平準化できるでしょうしね。

このように商品開発の相乗効果が考えやすいです。
ロジも考えているようですが、配送頻度とボリュームを考えるとどうなんでしょうか。
お手並み拝見でしょう。FFは共同配送のメリットがありそうですけど。
むしろ、成城石井が大きくなったときに
ローソンにとって手狭になったPCなんかを有効活用できるとか、
両者で店舗を業態転換しあって売上を守るとか、そういったことも出来そうです。
そう考えると可能性はなかなか広まりそうですね。
あと、ロッピーを成城石井におくと便利じゃないかと思いますね。
ローソンとは出店している場所が違いますから、
マルチメディア端末の売上アップは見込めると思います。
そうなればローソンが最近進めてきたHMVやシネマの買収もプラスになるわけで。

あとはコンビニ会社がSMを運営出来るか、ですね。
コンビニはどこも皆「子会社」出身です。
子会社が親会社になったとき、ちゃんとマネジメントできるのか?
セブンは子が親を飲み込みましたがあそこは親子で経営者が一緒でした。
ローソンも社長は生え抜きではないですし社長の経験もあります。
ただ、社長だけではないですからねぇ・・・会社は。
いままでは最後に売られて親会社に貢献してきたコンビニ。
親会社になってどう子会社を育てていくか、そこに私は注目しています。
ローソンはダイエーの「虎の子」でしたが、相手はダイヤですから!
私は虎がダイヤを磨けないとは言いませんよ(笑)
まぁ磨いてもダイヤはダイヤだと思うので、売って換金しないことだけを祈ります。

さらばダイエー~イオンのグループ再編最終章その1~ [提携・M&A]

イオンがダイエーの完全子会社化を発表しました。
イオンのリリースはこちら
昨年持ち分法適用会社から子会社化していましたが、
結局1年あまりで完全吸収の道を選びました。
業績の悪化はとどまるところを知らず、丸紅も折れざるを得なかったんでしょう。
まぁ丸紅もこれで精算済んで一安心というのが正直なところかも知れません。

イオンは株式交換でダイエーを完全子会社化し、
イオンリテールに吸収する方針。
また、イオンリテール(GMS)の事業・エリアと被らないGMS・SM事業は
各地域に展開する子会社と一緒に再編するそうで、
実際イオン北海道が再編へ向けた協議入りを発表しました。

記者会見ではダイエーの店舗ブランドが2018年をメドに消滅する、
という岡田イオン社長の発言が注目を集めていました。
まぁダイエーは元・小売業売上No.1の企業だったわけですから、
「盛者必衰の理をあらはす」を地でいきましたねぇ。
ピーク売上3兆円を越えた企業が10年ちょっとで8000億円まで激減したわけで、
そりゃいくら何でもだめですな。

店舗網も北海道、東名阪、九州に点在し効率は悪いし、
GMSが中途半端に残ってSMに完全に業態転換しているわけでもないし、
店齢は古いし改装は追いつかないし、誰がやっても厳しい状態には変わりなし。
ならばイオンに吸収されて資金を投入された方が復活は可能性が高いのは自明の理。
最大の敵は「ダイエー」の看板が亡くなるという感傷だけだったと言えるでしょう。
岡田社長はそこをあっけなく記者会見で打ち破ったわけで、これは見事だと思います。
なかなか言えませんからね、こういった発言は。
それに後出しするよりもタイミングはよかったと思います。
まぁ関東関西のイオングループのSM各社は自社のブランドが変わることを
記者会見で知ることになってしまいましたけどね。

で、私はダイエーブランドよりも、株式交換での子会社化に注目しています。
イオンはこれまで株式取得によるグループ化を進めてきました。
マルナカにしろ、オリジン東秀にしろ、マイカルやダイエーもそうです。
それに対し、セブン&アイは大物は株式交換でやってきましたよね。
そごう西武のミレニアムリテイリング、ヨークベニマルではそうです。

株価の違いがそうなったと言えますが、イオンが戦略を変化させるのか注目しています。
これまでのようにキャッシュを流出させるのに耐えうる財務状況ではない、
というよりはキャッシュを改装など本業に投資したいと言うことだと思いますけど。
今回は交換比率も1:0.11程度とかなり有利なのも聞いてるとは思いますが、
今後も株式交換でグループ化を進めるのか注目しています。
だって、そうすればさらに空中戦が進みそうですから・・・

そしてダイエーの子会社を見て思いました。
もうOPA(ファッションビル)しか残ってないですね、実質的に。
グルメシティが関東と近畿にありますが、あとは付帯業務の会社のみ。
プレスリリースではOPAとファンフィールド(アミューズメント事業)が
統合効果を高める例として挙げられていましたが、あとはないんですもの。
中合(百貨店)はどうしますかね。イオンもちょっと悩みそうです。
百貨店はイオンも持て余してますし、しかも店舗が東北でハードルは高いです。
その他の子会社はイオンの子会社に吸収して終わり、ですね。

セゾングループはそれを思うと優秀でした。
西武百貨店、ファミリーマート、西友、ロフト、無印良品、みな残ってますもの。
セゾングループはなくなりましたがグループ企業は生き残った、
ダイエーはグループごと無くなった、この違いは大きいと思います。
日本の流通革命をおこしたダイエーは、革命とともに終焉を迎えたようです。
しかし、歴史に名を残したことは事実です。
だから平家物語の世界なんでしょうけど。

東北SM連合誕生へ [提携・M&A]

東北地方の中小SM4社が経営統合を発表しました。
おーばんHDのリリースはこちら、キクチのリリースはこちら
マイヤのリリースはこちら、前田のリリースはこちら
おーばん以外は同じですね。おーばんの意欲が高いと読むか、そこは何とも言えませんけど。

4社の共同仕入れ会社マークスを持株会社とし、その下にぶら下げる方式。
株式交換でキャッシュは流出しませんし、既に協業しているうえ、
一番はまったくもって商圏が重ならない4社だと言うこと。
これが今回の経営統合のすべてと言って良いでしょうね。
だからこそまとまった話でしょう、正直。

しかもそれぞれ単独で生き残るには厳しい状況があります。
岩手三陸沿岸がメインマーケットだったため、
震災で店舗が大ダメージを受けさらにマーケットが消失してしまったマイヤ。
同じく福島県相双地区が地盤で津波被害と原発事故のダブルパンチで
こちらもマーケットが消失してしまった(フレスコ)キクチ。
青森で祖業の百貨店を閉めSMに業態転換したものの、
ユニバースにがっちり商圏を押さえられ競争力に乏しいマエダ。
山形でヤマザワという強力な地場SMが存在する上、
南からセブン&アイの誇る優良SMヨークベニマルと、
北からは東北を庭のごとく押さえるイオンのマックスバリュ東北の
侵攻ににあい三重苦のおーばん。
それぞれの苦境が見て取れます。
いわば東北の3番手連合とでも言うべきでしょうか。
各県で3番手くらいの企業が集まったと。
一番規模が大きくてマエダですからね。4社で800億円弱。
規模だけで言えば、ヨークベニマル、ユニバース、マックスバリュ東北、
ヤマザワについて東北では5番目くらいですかね。
生き残りに辛うじて手を挙げたといえるでしょう。

でも5番手ですからね・・・
将来的にはさらなるM&Aは必死でしょう。
東北は人口減少が確実なマーケットですから、
何もしなければ売上は減る一方。
となると企業が存続する上では売上を維持しなければならない、
東北で人口が多いのは宮城、福島。
こちらをどう攻略するかが東北SMの大勝負です。

一番安泰なのはヨークベニマルですよね。
大高一族の人材も豊富でその商品力はピカイチ。
福島・宮城・山形を押さえ関東へ南下中です。
2番手がユニバース。青森を固めて岩手をM&Aで掌中に。
次は宮城へ南下する南下政策を進めます。
ただ、三浦社長が居なくなったらこける可能性も高いと思いますけど。
3番手がマックスバリュ東北。元々の地盤である秋田と山形、
旧亀屋を元に展開する青森、イオンから継承した岩手
(マックスバリュ1号店は水沢ですから!)、
宮城・福島のマックスバリュ南東北を吸収するのも時間の問題でしょうから、
東北6県をネットする最初のSMはここでしょう。
だからといって一番でかくなるわけではないですけど。
営業エリアが広い=売上No1ではないのはコンビニが証明済みですしね。
ヤマザワはヨークベニマルに山形を荒らされ、
出ていった宮城は現状維持が精一杯、
福島へ打って出ようとしたものの原発事故の影響を考え秋田へ北上、
よねやを傘下に収めましたが人口減少地域に新たに進出してもねぇ。

となると、この4社連合は上記4社に続く位置ながら、
それらに属しない中小地場SMの担い手になり得ます。
例えば秋田のユナイト。伊徳とタカヤナギ連合ですが、
これがマークスに加われば売上規模も大きいのでかなり規模の経済は働きます。
秋田のSMは参加してませんからね。
一応マークスはCGC系企業が多いのでそこは系列が違いますが。
あとはウジエスーパーも営業エリアが被りません。
数あわせとしてはいいかも。それを言えば福島のリオンドール。
キクチとはエリアがこれも被らない。
それらが参加すると一気にヨークベニマルの次に来る規模にはなれる。
とは言っても誰が主導するのか(マネジメントするのか)という大問題が発生しますけど。

そう、誰がマネジメントするのか、それがこの4社統合の一番の問題だと思います。
経営統合した以上もう引き返せません。
マークスは会長がマイヤ、社長がマエダのようですね。
マイヤの社長はなかなかの名士のようで
各種ドキュメンタリーでも取り上げられています。
マエダの社長も苦しみながらも業態転換して実績を残してはいます。
それが1000億企業の社長になれるのか?
ライバルのユニバース三浦社長は1000億の社長になって、
2000億、3000億の姿が見えなくなったのが
アークスグループ入りの理由といっていたと思います。
それを4社連合がどう乗り越えていけるか、
それだけがこの統合の成否を握る鍵と言えるでしょう。

セブンとファミマの異業種提携~進む道は違えども~ [提携・M&A]

コンビニエンスストア最大手のセブンイレブンがJR西日本と、
第3位のファミリーマートが全農との業務提携、
それに伴う新型店舗オープンをそれぞれ発表しました。
(セブンイレブンのリリースはこちら、ファミリーマートのリリースはこちら)

セブンイレブンは3月に提携の発表をして6月4日にオープン、
ファミリーマートは提携発表と新店オープンを同時に発表し開店は5月31日。
提携先は全く違いますが、店舗の新しい立地場所を求めて提携。
いわば今後の成長場所を求めての提携で目的は一緒ですね。

しかしその販路は大違い。
競争もありますが立地面で圧倒的優位に立つ駅ナカを目指したセブン、
競合は全くないがマーケットが薄い農村を目指したファミマ。
なかなか目の付け所がナイスだと思います。

セブンイレブンは駅ナカですから基本的に問題ないでしょう。
一部おつきあい出店を余儀なくされるとは思いますが、
全体で見ればかなり肥沃な大地がひろがっているわけで、
オペレーションをしっかり出来れば問題なし。
唯一の心配は究極のショートタイムショッピングについて行けるか、ですね。
で短時間で大量の客を捌くのにレジをどれだけ上手く回すかが全てでしょう。
発注はなれればどうってことないでしょうから。
最初は欠品等あるかもですがそちらは心配いらないと予想します。

むしろJRの色が付いたことがどう転ぶか、が若干の心配ではあります。
私鉄駅のコンビニもいずれ大手3社の系列化が進むと思われますので。
西日本で強い私鉄駅からは弾かれる可能性もあると思います。
その辺はなるようにしかならないでしょうけど。

一方のファミマはマーケットは独占できるものの、
そのマーケットに深みがどれだけあるかが問題。
ただ、農村地帯のパパママストアは品揃えに問題があっただけに、
最寄り品を揃えたコンビニはその点では問題ないでしょう。
最近は生鮮品の品揃えもコンビニはトレーニングしていますし、
衰えたパパママストアよりは鮮度と価格でむしろ競争力は高いはず。
ただ唯一の懸念はマーケットになるわけで。
そして延びざるを得ない物流網でしょうか。

ただ、地方ではこんなところにコンビニが!という立地は意外と多いです。
山奥の観光地や国道沿いにもコンビニがありますしね。
社会貢献で割り切れるロジ、と言えるかも知れません。
また全農と組んだと言うことは、生鮮品はそちらルートで店直納品という手もあります。
魚はどうしようもないでしょうけど、肉も何とかなるんじゃないかと。
そう考えると、マーケットをごっそり押さえられれば、
意外にペイできる商圏は多いのではないかと思います。
いま買い物過疎地は週末にまとめ買いとか多いですからね。
日用品、生鮮品の品揃えを上手く出来れば何とか・・・
マーケットが1/3でも単価が3倍ならいいわけですし。

個人的にはファミマの取り組みに注目しています。
だって、これからの日本では間違いなく増えるマーケットですから。
あとは、最近話が出てきた全農解体論がどうなるかという不安定要因が心配ですね。
それで話が変にならないといいですね、ファミマさん。
そしてローソンはどうしましょうか?
いろいろ手を打っていますが決定打に欠ける気がします。
健康ステーション路線でドラッグよりに行くのか?
柱がいろいろある分ちょっと見えません。
全方位作戦の次の一手がコンビニ業界の注目でしょう。
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