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イオンバイクの独立~イオン新戦略の先兵~ [業界話]

イオンがこのほどイオンリテールからイオンバイクを切り出し
新会社を設立することを発表しました。(リリースはこちら

イオンが売り場の専門店かを進め、GMSやモールSC内でのインショップだけでなく、
路面店の出店も促進して新業態の開発を進めています。
今のところ酒販のイオンリカー、自転車のイオンバイク、雑貨のR.O.Uがあります。
イオンバイクは独立第1号となるわけです。めでたしめでたし。(イオンにとってですが)

以前ダイエーが不振に陥ったときCVC(カテゴリー・バリュー・センター)という
今のイオンと同じように各売り場をインショップ化して独立性を高め、
業績立て直しの切り札にしようとしたことがありました。
また競争力を失った売り場を埋めるべくダイエーが招いたのがg.u.ですよね。
が、ご存じの通りCVCは全くの画餅に終わり、ユニクロだけがg.u.を軌道に乗せました。
うまくロープライスラインを扱う専門店として育てたユニクロもずいぶん苦労しましたが・・・

また、あまり知られていませんが、マイカルになる前のニチイも同じようなことをやろうとしていました。
GMSは業績に陰りが見られるとすぐ売り場を専門店化しようとする遺伝子があるんでしょうか?
これまでのところ、GMSが切り出して成功した専門店といえば、無印良品とロフトしかありません。
そういった意味ではセゾングループはインキュベーターとしてはかなり優秀でした。
西友だって西武百貨店から切り出した訳ですし、セゾンカードだってそうですよね。
セゾングループはなくなっても、主立った企業は皆生き残っているのが
ダイエーグループとの大きな違いですね。バブルで解体されたのが残念です。

おっと、またしても恒例の脱線が長くなりました。
で、イオンはそういった先例を乗り越えるべくまずはイオンバイクの切り出しに成功しました。
まぁイオンバイクも元々はイオン九州が始めた業態ですよね。
スタート時はイオンサイクルショップでしたっけ?
それをイオンも取り入れて一気に拡大に転じました。
規模の経済が働いたといえるかもしれませんが、
自転車販売のあさひが展開する地域が限られているので、
地方に強いイオンが自転車販売で大きな力を持つのはそのSCの多さが有利に働きましたね。
イオンリカーが次の候補になるでしょうが、やまやというグループ企業との棲み分けが
問題になりそうですから、どちらかというとR.O.Uがほんとは育ってほしいところ。

やまやがでましたが、イオンは提携戦略で専門店をグループ化してきました。
これまでのイオンの専門店は3タイプに分かれます。
外国から導入して子会社が運営する形(スポーツオーソリティ、ローラアシュレイ、ボディショップなど)から、
国内の有力専門店と資本・業務提携する形(やまや、イオンペット、ニューステップなど)、
そして直営の売り場を切り出すイオンバイク形式が最新です。
これに既存企業をM&Aで子会社化するのを交えれば4タイプでしょうか。
まさに硬軟織り交ぜてですが、やはり大きくなると独力でやりたがりますね。

セゾングループしか成功してこなかった専門店化に成功するか、
これまでの戦略が無にならないためにも、そしてイオンがこれからも流通業界で
存在感を失わないためにも、是が非でも成功したい戦略です。
これから2の矢、3の矢そしてどこまでつつけることが出来るか、注目です。

2012.11.5
CVA→CVCへ修正。誤記でした。
CVC(カテゴリ-・バリュー・センター)ですね。CAVってなんだ?と反省しております。

雪国の駐車場メンテナンス [業界話]

随分間隔が空いてしまい、かなり消化不良気味ですが、
今回は駐車場メンテナンスのお話を取り上げたいと思います。

と言うのも、今年の冬は寒かった!
そのため、SMG・MS・ Drg・ HSといった業態をとわず、駐車場がボロボロです。
割れ目に入った水が凍って膨張し舗装にダメージを与えたんでしょうね。
今年は雪が多いイメージありますが、降雪量は特に多い訳ではなく、
気温が低く雪が融けなかったのが一番の原因。
雪の下で、自然は駐車場にもダメージを与えていたわけで、
雪融けとともに穴がポコポコ、ひび割れ縦横無尽なヒドイ状態です。
しかし、補修が追い付いてないところがほとんどです。
タイヤが半分埋まりそうな穴が開いたままなんですよね。
NSC だろうがフリースタンディングろうが問わずですね。

予算の問題があるのは分かりますが、店内の設備がトラブルとすぐ直すのに、
店外設備は後回しになりがちです。
でも、駐車場でパンクしたらもうそこには買い物行かないですよね。
かかるものはかかるんですから、駐車場のメンテナンスはしっかりやって欲しいところです。
除雪費用と一体として補修経費を計上する文化を流通業には望みたいと思います。

タイ洪水の影響~じわじわ押し寄せるのか?~ [業界話]

このところ怒濤のように(?)記事を更新していますが、
たまたま時間とネタがそろったモノで書きまくっています。
来月また一気にペースが落ちないようにがんばります。

さて、最近ニュースを賑わしているのがタイの洪水のニュースです。
自動車業界は各社生産停止に追い込まれ、
それがタイのみならず世界各国に広がっているとか、
HDD工場が生産停止してPCのみならずHDDレコーダーにも
影響が広がる恐れがあるなど、想定外の(?)影響も続々です。
どうしても製造業が目立ちますのでそちらの報道が多いですが、
食品業界にも影響が出ています。ちょっと古いですが13日時点で
味の素や日本ハム、ヤクルトに永享がでたという報道もありました。
じわじわと影響がでそうな予感がしています。

工業製品だけでなく、食品も国際分業体制が気づかれています。
イメージはエビが大丈夫かなぁ・・・と思ったりもしますが、
冷凍食品や加工食品は世界中から調達されていますので、
何らかの影響がこれから店頭に商品が並ばなく成るという形で現れるはず。
3月の東日本大震災ほどの影響はないかもしれませんが、
意外とじわじわくるんじゃないかと思っています。
3月のように一気にどーんとなくなるとわかりやすいですが、
今回は気がつくと商品がフェードアウトする可能性があります。
商品改廃のふりをしたりしてさりげなく。

そうすると前回の震災の教訓をどう生かしたのか、
というのが各社の取り組みで見えてくるのではないかと予想します。
正直に棚を空けて欠品中です(不二家や雪印の事件の時はそうでした)と
表示を出して商品が戻るのを待つか、
あるいは商品入れ替えのふりをしてそのまま新しい売り場を作るのか。
入れ替えるにしても代替品か新規商材を発掘してくるかにもよるでしょう。

さらに個人的にはPBがどうなるかも注目しています。
各社の在庫が震災の時はクローズアップされましたが、
今回はしばらくたってから欠品が明らかになる、
それが年末年始のかき入れ時にかかったら・・・・
果たしてどうなるんでしょうか?かなり影響が出ると思います。
売り場面ではなく利益面において。

というように、今回は意外な商品が意外なところとサプライチェーンで
つながっていることがわかるのではないかと思います。
しばらくはSMの売り場で商品が供給されているか
観察してみると新たな発見があるのではないでしょうか?

テスコ、日本撤退 [業界話]

ちょっと時間がたってしまいましたがテスコのお話。
イギリスの流通大手であるテスコが日本からの撤退を発表しました。
英語版ですが、リリースはこちら
カルフールに続いてまたしてもヨーロッパ勢が撤退し、
ある意味流通業界のガラパゴス化が進んでいます。

テスコと言えばキャッシュ&キャリーですが、
日本ではつるかめを買収して参入したで、
小型店を展開するのみであり本来の姿とは違っていました。
そんな中でも、テスコエクスプレスを展開し始め、
つるかめからテスコへの脱却をはかっていたところですが、
今年になってから撤退のうわさがくすぶっていたのも事実。
果たしてどうなることかと思っていましたが、
やはりそうなったかと思いましたね。
大抵、撤退のうわさが流れるとその流れ加速する一方ですし。

さて、そのテスコ、売り上げ8兆円規模の流通グループですが、
なぜつるかめを買収して参入したのか、
その躓きは最初のボタンの掛け違いだったと思います。
トイザラスが日本でそれなりに成功を収めたのは、
やはり得意なフォーマットを持ち込んだからではないでしょうか。
セブンイレブン、マクドナルド、それぞれローカライズはしていますが、
基本は本国と変わっていないと思うんですよね。
まぁオフィスデポやオフィスマックスは失敗しましたが。
ウォルマートは苦戦していますが、地方のそれなりの店舗面積を持つ
モール業態なんかは順調なはず。仙台長町のような化け物もありますし。
日本のマーケットを考えると人口の集中する首都圏を押さえなくてはならない、
そういうマーケットボリュームありきの考え方が失敗の根本に思えてなりません。
だから首都圏に展開し、手ごろなつるかめを手に入れ、
それをテスコに育てていけばいいと考えたが、そうは問屋がおろさなかった。
流通業界だけあって、「問屋」の重みが違いますね。

しかし、一方でカルフールは得意なフォーマットを引っさげて参入したにもかかわらず、
結局は撤退に追い込まれました。カルフールはフォーマットはよかったものの、
ローカライズをすることなく(あるいはあまりそれを考えず)
取引関係のシステムまで本国からすべてを持ち込もうとして失敗した側面が強いと思います。
自社のどの部分を守って、どの部分をローカライズするか、
そこが流通業界で現地化を図る上で大事な部分でないかと、
今回のテスコの話で思いました。
店舗フォーマットや販売手法といった、顧客に直接関係する部分のこだわりを持ちつつ、
商流や物流といった裏の部分は柔軟に対応することが大事ではないでしょうか?

日本はこれから人口も減少してマーケットも縮小する、
流通業界にとってはあまり魅力的ではない国とも言われます。
しかし、その日本に参入する企業が多いのも事実です。
特に最近目立つのはSPA系の企業ですが、
小売業も、それこそ韓国系なんかが殴りこみをかけてきてもおかしくはありません。
流通ガラパゴスがいつまで続くのかわかりませんが、
新たな参入者が同じ轍を踏まないで切磋琢磨する時代がくるのか、
まだまだ目が離せない業界であるといえるでしょう。

放射能汚染の対応はどこですべきか? [業界話]

東日本大震災にともなう東京電力福島第一原子力発電所の事故による
放射能汚染の広がりは終わりが見えません。
広範囲に影響が及び、農水畜産品の出荷の停止・解除が
各地で繰り返されています。それに伴い、発生してしまったのが
出荷停止作物が店頭販売されてしまうという事故です。

2011年4月に千葉県香取市産のホウレンソウ約7800束が
一部生産者が出荷停止要請に従わず出荷し、市場で消化されていました。
これは確信犯でしかも市場で消化されるというお粗末さ。
市場はそういったチェックをきちんとしていないということですよね。
しかも仲卸もまったくそんなチェックをしていないモンだから
堂々と流通してしまうんですね。責任体制がしっかりしていない証左でしょう。

また同じく4月には、出荷自粛要請中の千葉県県旭市のサンチュが
首都圏のイオン店舗で販売されていたことが発覚、
回収騒ぎになり、しかも発覚翌日も不徹底により
1店舗(確か品川シーサイド)で再度販売されるというお粗末もありました。
これはバイヤーの判断が甘かったのと、
それをチェックする態勢が商品部の中になかったということ。
これに関しては店舗側に非はなく、クレーム対応にあたっただけ損な役回り。
しかし、発覚翌日も店頭に並べてしまった1店舗は売り場担当者のミスであり、
食品マネージャーの管理不行き届きで申し開きはできないでしょう。
普段のコミュニケーションに問題があったか、
いつも商品管理は担当者の気分次第というかルーズなところがあったので、
こういうニュースになるようなヘマを起こしてしまったはず。
SMの担当者は他山の石とせず、真摯に向き合う必要がありますね。

そして今度はイオンも郡山フェスタ店で出荷制限されているカリフラワーが
JAの産直コーナーに販売されていました。(リリースはこちら)
これに関しては間違いなくJAのミスです。非はJAに有りでいいでしょう。
リリースでは店舗側もチェックミスがあったとしていますが、
おそらく実体はノーチェックだったのではないかと思いますね。
産直コーナーはおそらく今はやりの生産者の顔写真を張った売り場のように、
生産者の顔が見える、地産地消、なんてようなコピーを打って、
納品されたものをただ売り場に並べるだけというのが実態ではないかと思います。
センター納品ではなく店直でしょうし、開店作業のどさくさで
いちいちチェックしている場合ではないというのが現場の姿でしょう。
そんな中で、店舗でマンパワーを割いてリストと照合するなんてことは
実際のオペレーションとして難しいのが現実だと思います。

本来であれば、検品と一緒でセンターで2重・3重のチェック体制を敷いて、
店舗での負荷をなくすべきであると思います。
では店直納品のものはどうするか、ここが問題になりますね。
放射能汚染問題は長期化、広域化してくことが確実ですので、
流通各社は売り場担当ではなく、専任者を配置すべきであると思います。
鮮度チェック担当、あるいは検収担当を増員してあたるしかないのではないでしょうか?
あるいは、店長、課長、マネージャーといった管理職が危機意識を持って自分で行うか。
いずれにしろ、売り場担当者に負荷をかければ、
それがさらにミスを誘発する可能性があります。
イオンで発生した1店舗だけ売り場に並んだとうのもここらが一因であるとも思います。

一義的にはセンターの監視態勢を強化しセンターで対応する、
そのチェック機能+店直納品のアイテムをチェックするために店舗に専任者を置く、
そういった投資が日本のSMには必要になってしまった、
それが東日本大震災の与えた一番大きな影響だと思います。
幸い、物流・商流は回復しています。売上も何とかなっているでしょう。
あとは商品管理をどうするか、コスト的に頭が痛いですが、
安全安心を売りにする以上、避けては通れない道だと思います。

震災後の影響・その5~メーカー欠品・放射線との戦いは続く~ [業界話]

日付は変わってしまいましたが東日本大震災から1ヶ月が経過しました。
東北の大停電は2度のおよび、1ヶ月目にも震度6の余震があり、
福島県のいわきは停電しているようです。
秋田も本震と余震で2度の停電に見舞われ、
流通業の店舗もいまだ欠品が続いています。
残念ながら正常化にはまだまだ時間がかかりそうな感じです。

欠品と言っても、当初は物流網の壊滅による供給の途絶によるものでした。
そこに消費者の買いだめが起こって需要が爆発、
一気に店舗から食料品が消えてしまった訳です。
そして買いだめの嵐はガソリンや軽油と言った燃油の欠乏を招き、
ガソリンを10リットル入れるのに2時間並ぶということが2週間程度各地で続きました。
これによって物資を運ぶトラックの燃料が確保できず、
物流網がさらに圧迫されるという事態も起こりました。
幸い2週間ほどで落ち着いてきましたが、
今度は被災によるメーカーの製造能力の低下と、
計画停電による生産量に限りが起きてしまい、
秋田の場合乳製品の欠品が続いています。
あとは、工場の被災によりたばこ、アルコール類、はかなり品薄、
ペット飲料もどうにか需要と供給のバランスがとれている感じです。

しかし燃油不足による物流網の麻痺というのは想定外でした。
もはや想定外という言葉は、日本で許されなくなりそうな雰囲気がありますが、
想定外なものは仕方がないですね。
これからは燃油の確保がロジスティクスの部門の課題になりそうです。
各社ローリーの5台10台は持つようになるかもしれませんね。

しかし一番の誤算は計画停電による欠品でしょう。
津波による火力発電所の停止と、事故による原発の停止長期化で、
各方面に操業停止、生産量限定という影響が出ています。
乳製品はその最たるものですが、あとは納豆もかなり限られています。
現状その2品でしょうか、一番影響が見られるのは。
代替品が無いですしね。豆腐なんかは比較的豊富になってきましたし、
一時消えたハムソーも潤沢になっています。
加工に時間がかかる商品が乳製品だったんだな、
と言うこと知った今回の震災です。
しかし、日本がだめなら世界から調達する、
という手段を執る企業もあるようです。
当分の間はこのメーカー欠品の商品をどうするか、
また開いた棚をどう埋めて商品を提供していくのか、
流通業界の真価が問われることになりそうです。

そして今回震災のもう一つの特徴である原発事故の影響もあります。
茨城産、福島産の魚から放射性セシウムが検出されたり、
北関東でほうれん草から同じく放射性セシウムが検出されるなど、
そのほかにも多くの食材で原発事故による食品の安全性が脅かされ、
売り場への商品供給が滞る可能性が出てきました。というか、出ています。
さらに追い打ちをかけるように、カゴメとデルモンテが
福島県産のトマト買い入れ中止を発表しました。
また、福島県の葉たばこ生産農家が作付けを断念というニュースもありました。
かなり多方面に放射線の影響と風評被害が出ています。

個人的には収穫前から契約農家のトマトを買い付けないというのは行き過ぎだと思います。
せめて収穫したトマトを検査して、それから結論を出しても遅くはなかったと思います。
こうなっている以上、無検査で無条件に買い上げろと言うつもりはありませんが、
検査の結果はじくという科学的な取り組みを行うことが、
いま流通業界、食品業界に一番必要なことではないでしょうか?
確かにいまでは福島県産というのは危ないというイメージを持たれています。
しかし、危ないものをはじいて消費者に届かないようにする取り組みは、
生産者、行政、流通業者と多段階でチェックしていけるはず。
このままでは、特に東北・北関東のSMから地場商品が消えてしまいそうです。
風評被害で売れないから仕入れない、「危険性がある可能性」が高いから扱わない、
こういったことではこの先どうなってしまうのかと思います。
生産する側としては当てにならないものを弾いてしまった方が、
生産計画も立てやすくなるでしょう。その方が再三もとりやすいです。
しかし、それではあまりに採算重視に過ぎませんか?

無味無臭、しかもよくわからないけど危ないことだけはわかっている放射性物質。
しかしこれから日本の食品業界はそれとつきあっていく必要がります。
どう考えたって、まだまだ原発からの放射性物質の漏出は続きそうですし、
撒き散らかされた放射性物質による残留放射線の問題は避けて通れません。
苦しいでしょうが、メーカー欠品に果敢に対策を立てるように、
是非前向きな取り組みを東北の農水産物・食料品に対して取り組んで欲しいと思います。

1ヶ月5回に渡って震災後の秋田の現状を書いてきました。
とりあえずこのシリーズはひとまず打ち止めにします。
書くとしても3ヶ月後、半年後といった節目ごとにしましょう。
また以前のように、見応えのある店舗と前向きな業界話を取り上げていけたら、
それがこのブログにとって震災復興の証になることでしょう。
まだまだそれまで書き続けていきたいと思います。

地震後の影響・その4~意外に長引きそうな一部商品の品不足 [業界話]

東北地方沖地震から2週間とちょっと経ちました。
ガソリンの流通はずいぶんと正常化し、
高速道路も各地で復旧して物流面の正常化が進んでいます。
SMにおいても、生鮮3品はほぼ元通りの品揃えとなり、
料理をする食材にはほぼ困らない状況になってきました。
また、トイレットペーパーやティッシュペーパーも
ほぼ全家庭に行き渡ったのか、落ち着いています。
買いだめ需要だけだったのでいったん落ち着けば
むしろ不良在庫としてBRを圧迫しそうですが。

一方で、相変わらずカップ麺、レトルト食品は入荷したらすぐ売り切れ、
乳製品、日配のハム・ソーセージのたぐいはほぼ壊滅状態が続いています。
菓子類や嗜好性の調味料(焼き肉のたれ、すき焼きのたれと言ったたぐい)も
ずいぶん売り場がスッカスカでかなり厳しい状況ですね。
あと、PBが壊滅しています。PBはしばらく入荷は見込めないでしょうね。
だって、自社製品の製造でメーカーはどこも大わらわな訳ですし、
輸入アイテムも輸送時間のタイムラグがあるので、まだまだかかりそう。
いま欠品しているアイテムは、おそらくゴールデンウィーク前くらいまで
時間がかかるかもしれませんね。全くないという訳ではなく、
また代替品もありますから(メニュー的に、ですけど)、
元通りになるまでもう少し気楽に待ちましょう。

しかし、今回の地震後の混乱で思うのはセンター物流弊害です。
センター物流により、効率化はされました。
しかし、センターが被災すると一気にその物流を受けている店舗が
すべて物流が止まってしまい商品を調達できなくなる訳です。
今は、店直で納品するのはごくまれな例外であり、
ましてや地場の零細製造業から調達するネットワークも無くなっています。

今回は東北の中心である宮城県で大きな被害が出ました。
おまけに、高速道路が止まったうえ、配送に不可欠な燃料もないというダブルパンチ。
イオンが全国の物流改革の手始めとして東北で始めた
RDCを中核とする物流が止まってしまったダメージは未だ尾を引いているようです。
また、全国の先駆けとなったシステムが止まってしまったというのも運命でしょうか。
秋田では、地場のSMである伊徳やタカヤナギの方が商品が豊富にあります。
イオン、マックスバリュはかなり厳しいですね。
集客力があるから売り切れてしまう面もあるでしょうが、
仙台からの物流が止まってしまったため、別ルートを構築するのに
手間取ってしまっているのではないでしょうか?
NHKでセブン&アイグループのイトーヨーカドーとヨークベニマルが
仙台の物流センターが機能停止して物流が止まってしまったと取り上げていました。
巨大流通グループはセンター物流により効率化を実現しましたが、
想定を超える天災には無力でしたね。

かといって、昔のようにすべて店直納品でセンター物流をやめろと言う論には与しません。
これはこれで平時に大きな力を発揮している訳ですから、
非常時のためにそれを捨てて非効率に走るというのはあり得ません。
むしろセンター物流はより突き詰めていくべきで、
非常時に何を備えるのか、ということをこれから対策していくべきでしょう。

今回の地震で燃料と電気の確保が大事だと言うことが明らかになりました。
今後は思い切って自家発電と地下燃料タンクの標準装備化が進むかもしれません。
以前青森のユニバースは電気代節減を目指し自家発電の店舗への併設を行っていました。
その後の燃料代高騰によりどうなったかフォローしていませんが、
そういった店舗(特に大型店であるモールやGMS,SSMなど)では自家発電は大きな選択肢です。
そして、自分でモノを取りに行くためのガソリンあるいは軽油を備蓄することです。
今回はモノはあるけど道路事情と燃料不足のため遅延していると言う話が多かったです。
より機動力に優れたバイクの装備、あるいは免許所有者の店舗への配置もありでしょう。
ホームセンターでは大型商品を運ぶための軽トラックを店舗に準備しているところがあります。
GMSだって社用車をもっているところもあるでしょうから、
自家発電の燃料タンクと一緒に軽油あるいはガソリンのタンクも設置、
危険物取扱主任者をおいておけば、対応は不可能ではありません。
まっ、そのための投資を出来るかどうかは売り上げに依存する(売り上げ大→収益大)わけで、
そういった意味でも大型SCを中心に、建物の強度以外でどういった震災対策を
流通業界が打ち出してくるか、今後フォローしていきたいと思います。

話はずいぶん大きくなってしまいました。
また今後の地震対策と言った話は改めて取り上げたいと思います。
しかし、ここまで物流を回復させた各企業には敬服します。
普段は商品部や店舗運営に注目が集まっていますが、
やはり商品を届けるロジスティクスが機能していなければ商売にならない訳で、
今回苦労されたロジ担当者に各企業ともぜひ光を当てて欲しいですね。
そして、がんばってあの空っぽの棚に、
商品を並べる喜びを従業員に味わってもらえる日が一日でも早く来るよう、
もう二息くらいロジ担当者にはがんばってもらいたいです。
そうすればわれわれもお店にお金を落としますよ!

地震後の影響・その3~売り場の正常化までもう少し [業界話]

東北・関東大震災とか、東日本大震災とか、いろいろネーミングが
つきつつある今回の地震ですが、ようやく物流が正常化する兆しが見えてきました。
生鮮3品(農水畜)はほぼ元通りといった感じでしょうか。
今日マックスバリュに行きましたが、刺身のつまが無かったくらい。
総菜はコロッケなどはなかったかな?
しかし日配はほぼ崩壊です。乳製品、飲料、デザート、
どこを見ても在庫限りという感じで回復にはしばらく時間がかかりそう。
これは北海道からの物流の問題でしょうかね。
加工は保存食の棚が満たされるのはしばらく時間がかかりそうです。
それまで米を食べましょう!
あと、リアル・マリーアントワネット生活を送る人が多いのか、
単に優先順位が低いからなのか、菓子の欠品もおおいですね。
おそらく後者であると思いますが、前者の可能性(特に若者)もそこそこあるかと。
でも、紙製品も在庫がちらほら現れ始め、
地震発生から10日経とうとしてようやく正常化の兆しを感じました。
地震後の週末はどこ見てもほんと閉店セール中かという売り場でしたから。

秋田は幸い停電が一番の影響でしたが、
高速の通行止め、JRの運休、太平洋側の港湾の機能停止による物流網の破綻と、
消費者の過剰な買いだめによる物流網へのかつてない規模での圧迫により、
東北から関東にかけての食品流通が崩壊しました。
大規模停電が各地で発生し、断水による危機感が与えた消費者への不安は、
想定を遙かに超えたものだった訳ですね。
各地で流通業界と地方自治体の災害援助協定が結ばれていましたが、
物流網の破綻はそれを吹き飛ばしてしまったといえるでしょう。
阪神・淡路大震災では被災地がピンポイントだったのが、今回は
東北から関東へかけての太平洋岸の交通網をすべて麻痺させてしまい、
日本海側からのロジに頼らざるを得ない状況だったわけです。
そうなっては地域への援助は在庫の放出に限られてしまった。
ましてや、太平洋側では津波によりその在庫自体も流されどうしようもなかった。
流通業界にとっても、今回は事後の検証が大事な事例となってしまいました。
陸海空がとざされ、現地での燃料補給が出来なければ、
片側通行どころか物資を送り込むことさえ出来ないわけです。
現地で乗り捨ててでもとりあえず送り込む、
そんな大胆なことをすることも出来ず、想定外の事態のみがおそっています。

そして原発事故の影響で、野菜や牛乳といった製品に
今度は残留放射線の問題が発生し、ただでさえ空きの多い売り場に
さらに空き要因となりかねない事態が発生しています。
計画停電が続けば、これからの夏場は冷蔵ケースの商品を
どうするかという問題に直面するでしょう。
現に、秋田では停電の影響で冷凍食品・アイス売り場は閉ざされています。

しかし、食品という生きていく上で欠かせないものを扱う以上、
流通業界、特に食品スーパーは立ち止まることは出来ません。
少ない商品で、少ない照明で、多くのお客様を迎えなくてはなりません。
消費者の買いだめと戦い、停電と戦い、物流と戦い、
そしてこれから現れる3月期の売り上げ不振と戦わなければなりません。
しかし、ものがあってよかった、という思いはからの売り場を体験しなければ、
やはり心の底から実感できなかったことでもあります。
流通業界の皆さんには、ものを売れる喜びを今後の糧にがんばってもらいたいです。

地震後の影響・その2~買い物は計画的に~ [業界話]

今日買い物行って驚きました。
保存食となるカップ麺や蕎麦、うどん、パスタはもちろん、
缶詰、レトルト食品は言うに及ばず、ペットボトル飲料も売り切れ。
そして何故かトイレットペーパーやティッシュペーパーまで売り切れてました。
停電の影響とロジのストップにより冷凍食品や生鮮食品が欠品してるのは分かります。
しかしなぜ紙製品が売り切れるのか?
ガソリンスタンドの行列もそうですが集団心理と言いますか、
周りに流されてる気がしてなりません。


今は買いだめして物資を囲い込むのではなく、ほどほどにして被災地に送るとき。
各地の物流も1週間もあればずいぶん落ち着くはずですから、
あるものを適度に消費すれば買い置き保存食も入れ替えることになるし、
物流が安定したらまた買えばいいんです。
流通業界は「物が無くて申し訳ない」という趣旨の張り紙で消費者に謝ります。
むしろ、買いだめは敵だ!とは過激かも知れませんがそのくらいキャンペーンやって欲しいですね。

関東も計画停電で大変だと思います。しかし、適量以上の買い物は負荷以外のなにものでもないです。


買い物は計画的に!!

地震後の影響・其の1~しばらく負荷をかけないように [業界話]

2011年3月11日、秋田市も震度5強の揺れを受け、全面停電しました。
翌日12日夜にはかなり復旧したようですが、
まだまだダメージは多いようです。

流通業は11日は停電後も、手計算で販売を継続したようですが、
暗くなったら閉店した店舗が殆んどみたいです。
夜コンビニに買い物に来て閉店を知り諦めて帰る買い物客を目にしました。
真っ暗な市内は雪が降ったこともあって余計寒々しく、
地震の影響が広い範囲で及んでいることを実感しました。
私も敢えて店舗を見て回ることはしません。ガソリンは貴重品ですし、
必要な人に必要なものが行き渡ることが大事ですからね。

今は物流も破綻しているハズなので、もう数日は敢えて買い物には行かない積もりです。
備蓄食料で凌ぎ、物流に負荷をかけないのが協力かと思いますので。
もうすこし落ち着いたらまたブログで地震の影響を考えたいと思いますが、
電気が来てはじめてテレビを見て絶句してしまいました。
被災者の方にはかける言葉がありません。お見舞い申し上げます。


まずはライフラインの復旧してないところヘの物流を優先してもらい、
復活したところはしばらく保存食でいきましょう!

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